失業認定報告書・退職後の海外留学

1.失業認定報告書

失業認定日にハローワークの窓口に提出する失業認定報告書。

この失業認定申告書には、求職活動を記入して提出しなければなりません。

求職活動の時給も高くしたいですね
求職活動の時給も高くしたいですね

失業認定日は4週間サイクルですが、一般的には2回以上の求職活動が必要です。

この必要求職活動回数ですが、自治体により幅が大きく、1回でよいところもあれば、3回の求職活動実績を要求されるところもあります。

何回必要か?は受給説明会で説明されますので、聞き逃さないようにしましょう。

さて、次に気になるのは「何が求職活動に該当するのか?」です。

具体的には、次のような活動が求職活動として認められています。

1.実際に、求人への応募して履歴書を送付したり面接を受けた

2.ハローワークに職業相談、職業紹介などを受けた

3.ハローワークが実施する職業講習・求職セミナーを受講した

4.認定された民間企業が実施する職業相談、職業紹介を受けた

5.認定された民間企業が実施する求職セミナーを受講した

6.公的機関が実施する職業相談などを受けた

7.公的機関が実施する各種職業講習・セミナーを受講した

8.各種国家試験、資格試験を受験した(就職に関連するものに限る)

職業訓練の受講中は、こういった求職活動が免除されており、企業に面接などに行かなくても失業保険は支給されます。

なお、求職活動にウソを書いて失業認定を受けようとする人が必ずいますが、ハローワークは「本当に応募があったのか」を求職している企業に定期的に確認しています。

虚偽の申告をしていたことが分かると、失業保険の不正受給となり、以後、失業保険を受給する権利を剥奪されます。

その中でも特に悪質な場合は、受給した失業保険の返還とその2倍の損害金という、いわゆる3倍返しを命じられることもあります。

2.退職後の海外留学は悲惨

「退職したら、普段はできない海外での長期滞在がしたい。失業保険は帰ってからもらおう」

このようなプランで会社を辞めた直後に海外渡航した人の中には、失業保険が1円ももらえないはめになって泣いた人が少なくありません。

なぜかというと、失業保険がもらえるのは、退職日から1年間だけだからです。
少し細かい細くをすると、退職日の翌日を1日目とカウントします。

自己都合退職の場合、3ヶ月の受給制限期間がつきますから、海外滞在が9ヶ月以上あればもうその時点で失業保険をもらい始める前に1年のリミットがきてしまいます。

留学は素敵ですが、お金の面では厳しいです。
留学は素敵ですが、お金の面では厳しいです。

では、海外に8ヶ月いて帰国し、すぐに失業保険を申請した場合は大丈夫でしょうか。

単純計算して、退職後9ヶ月目~11ヶ月目が3ヶ月の受給制限期間になりますから、12ヶ月目から失業保険の受給が始まります。

一応、もらうことはできるのです。

しかし、そこまでです。

失業保険をもらえるリミットの1年間という制限は、例え失業保険を受給している最中であっても発動してしまいます。

上の例でいうと、12ヶ月目は失業保険をもらえますが、それ以後は1年という制限に引っかかって受給は打ち切られてしまうのです。

一時期、会社を辞めたら海外留学、会社を辞めたら海外への長期滞在、といった人が増えたことがあったのですが、事前にこういった制限を把握していた人は多くありませんでした。

結果として、帰国してから当面の生活費として当てにしていた失業保険を1円ももらえずに大変な状況になった人が続出しました。

下調べをしておけば、そういった乱暴なプランで大損することはなくなります。

3.失業保険のリミット1年が延長できるケース

失業保険をもらえる期限は、退職後1年間だけです。

これを知らないか、「求職者申し込み手続きをしてから1年間」と勘違いしてしまい、本来もらえるはずだった失業保険をもらい損ねた人は大勢おられます。

しかし、例外的にこの1年という制限が延長される場合があります。

病気や出産・育児など、求職申し込みをしても実質的に求職活動ができない状況にある場合です。

具体的には、上記のような理由で30日以上働けない状況にある場合に、失業保険の受給期間延長が可能となります。

受給期間延長の理由として認められるのは、具体的には下記のような場合です。

1.病気または負傷
2.妊娠
3.出産
4.育児あるいは介護
5.上記1~4のほか、ハローワークの所長がやむを得ないと認めた理由

働けません・・・という状態になったら迷わず申請しましょう。
働けません・・・という状態になったら迷わず申請しましょう。

延長できる期間は、働けない期間と同じです。

例えば、病気で3ヶ月働けない場合は失業保険の受給期間も3ヶ月間延長されます。

ただし、勘違いしやすいのですが上でも書いたように働けない期間が「30日以上」の場合に限り受給期間の延長が認められます。

2週間といった短期間では、こういった延長申請は認められませんので注意してください。

さて、申請ですが、働けない状態に陥ってから30日が経過した日の翌日を1日目として、30日以内にハローワークで行います。

提出する書類は受給期間延長申請書といいますが、ハローワークの窓口でもらえます。

この受給期間延長申請書に、離職票と「働けない理由を証明する書類」を添えて提出します。

受給期間の延長は最大で3年。もともとの受給期間1年と合計して4年間は、受給期間を伸ばすことができる計算となります。

なお、延長できる期間は最長で3年間です。

4.自分で希望して失業保険の受給期間を延長できる方法

前項は、失業保険の受給期間を延長できる条件についてお話しました。

失業保険の受給期間は1年ですが、
1.病気または負傷
2.妊娠
3.出産
4.育児あるいは介護
5.上記1~4のほか、ハローワークの所長がやむを得ないと認めた理由

といった事情がある場合に限って、失業保険の受給期間を最大3年(もとの1年を加えて合計4年)延長することが可能です。

ちなみに、一時期多かった「退職後の海外留学」「退職後の海外への長期滞在」はこういったやむを得ない理由には該当しませんので、失業保険の受給期間が延長されることはありません。

「海外で就職活動をする」
といった理由でも認められません。

退職後の海外渡航を考えている人は、くれぐれもこの点に留意してプランを立てるようにしてください。

出発日が決まってしまうと、修正が不可能になるのが一般的です。

さて、これらの延長理由とは異なり、唯一、「自分の意思で失業保険の受給期間を延長できる方法」が存在します。

それが、定年退職者の受給期間延長制度です。

この制度を選択できるのは、下記のいずれかに該当する人に限られます。
「60歳以上の定年に達して離職した者」
「60歳以上の定年後の勤務延長等により、同一の事業所で引き続き被保険者として雇用され、その期間終了により離職したもの」

これらの人が、すぐに再就職を希望しない場合、失業保険を最大で1年延長することが認められています。

つまり、もとからあった受給期間1年と合計して2年です。

延長できる期間は、「就職を希望しない期間」で、2ヶ月でも半年でも構いません。

申請が可能なのは退職日から2ヶ月以内。
受給期間延長申請書と離職票を用意した上で、ハローワークに申請します。

5.まとめ

・失業保険をもらうためには、4週間に1回の失業認定日に失業認定報告書を提出する必要がある

・失業保険はいつでも働き始めることができる状態でないともらえないため、退職後に海外留学に行くと、その期間は失業保険はもらえない

・失業保険がもらえる権利は、退職後1年で消滅する。しかし、病気やケガなど特別な事情がある場合は申請すれば延長が可能。逆にいうと、申請しないとどんな事情があっても1年で時効にかかる。

・「定年退職者の受給期間延長制度」は、唯一、自分の希望だけで失業保険をもらう時期をずらせる方法。