会社に損害を与えたら、保証人に請求がいくのか? 失業保険.comメルマガ

■ 第37回 会社に損害を与えたら、保証人に請求がいくのか?

会社勤めをされている方は、

入社のときに

色々な書類を要求されたと思います。

 

その中に、

「身元保証書」がなかったでしょうか?

 

会社が社員を雇うときには、

連帯保証人をとるのが普通です。

 

多くの場合、

要求される連帯保証人は1名です。

 

が、現金を扱う等、

誘惑が多い業界だと

2名要求する会社もあります。

親戚の子から、保証人依頼の電話
親戚の子から、保証人依頼の電話

 

ここから先は、

仮のお話として聞いてください。

 

あなたが、

会社のお金を使い込んでしまった場合・・・

 

そして、そのお金を

返すあてがないという場合・・・

 

会社は当然、

連帯保証人からお金を取り返そうとします。

 

これ、当たり前だと思いますか?

 

実は、必ず連帯保証人に

お金を要求できるかというと、

そうでもありません。

横領がバレて針のむしろ
横領がバレて針のむしろ

身元保証書には

有効期限を決めていない場合が多いでしょう。

 

その場合の有効期限は3年です。

 

具体的に期限を決めていたとしても、

5年以上に延長することは認められていません。

 

また、あなたが

転勤や職種変更命令を受けていた場合・・・

 

会社は、

その都度身元保証人に

それを通知する必要があります。

 

通知していなければ、

身元保証人は

その後の損害を賠償する義務はありません。

 

こんなことをマメにやっている会社が

どれだけあるでしょうか?

 

私は聞いたことがありません。

 

私の元に寄せられる質問でたまにあるのが、

「会社をケンカをして辞めたら、

保証人が訴えられるんですか?」

というものです。

 

「売上ノルマを達成しなかったから

足りない分を保証人に請求する」

という腰が抜けるような

脅しをかける会社もありました。

 

会社を辞めるときにもめた位で、

保証人に請求できるはずはありません。

 

警察が登場するような

犯罪でもやらかさない限り、

心配する必要はないのです。

 

また、仮にあなたが

警察のごやっかいになったとしても

(仮の話ですよ、念のため)

一度でも転勤していれば、

保証人に迷惑がかかることはありません。

 

身元保証人の義務というのは、

「意外と狭い範囲」

だと気づかれたと思います。

 

それを、いかに重い責任を

しょっているかのように

見せかけ請求するか・・・

実は根拠がない、連帯保証人への請求
実は根拠がない、連帯保証人への請求

悪い会社は、

このへんのテクニックが結構巧みです。


関連記事:

入社は「契約」


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■ 編集後記
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私が以前勤務していた会社で、

横領騒ぎが起きたことがあります。

 

詳細は書けませんが、

最後は上司が

保証人に請求して取り戻したようです。

 

しかし、横領をやらかした社員は

転勤を何回か経験していました。

(会社は、当然連帯保証人に

通知なんかしていません)

 

つまり、法的にいえば、

会社はすでに保証人に

お金を請求できない状態でした。

 

それを

「あなたは○○社員が入社のとき、

連帯保証人として判を押して・・・」

などなど並べ立て、

まんまと払わせたのです。

 

横領は論外ですが、

だからといって払う義務がない人が、

「自分には払う義務がある」

と勘違いして払うのは問題です。

 

(義務がないことを承知の上で

払うのは問題ありませんが)

 

ちょっとしたことを知っていれば、

数百万円が手元に残ったかも知れませんね。

 

ところで、今気づいたことがあります。

 

その、連帯保証人から横領したお金を

まんまと回収した会社ですが・・・

 

「横領した社員が持ち出した金」

を回収したのはいいのですが、

「横領した社員が(営業ノルマのため)

お客の名前で支払ったお金」

については

知らんぷりしていたような気がします。

 

これは、

代金の二重取りではないでしょうか?

 

今となっては確かめようもありませんが、

本当に組織っていうのは怖いですね。