再就職手当と就業手当

1.再就職手当

「再就職手当」とは、失業保険をもらう資格がある求職者が、安定した職業に就いた場合に支給される手当です。

ビジネスの前線に復帰です。
ビジネスの前線に復帰です。

ここで言う「安定した職業」とは、1年を超えて雇用されることが確実であると認められる職場に就いた場合や、起業して、雇用保険の被保険者を雇用する場合を指します。

逆に、「安定しない職業」というと、すぐに思いつくのが半年契約の契約社員といった、非正規雇用です。

しかし、それ以外に意外な職業がこの「安定しない職業」に含められています。
完全歩合の保険外交員など、独立性の強い職種に就いた場合は、安定した職業に就いたとは見なされず、再就職手当の支給対象にもならないのです。

なお、再就職手当は、失業保険の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あり、ハローワークが認めたときに支給されます。

気になる支給額ですが、下記のようになります。

●失業保険の支給日数が、3分の2以上残っていた場合
所定給付日数の支給残日数×失業保険の日額×60%

●失業保険の支給日数が、3分の1以上残っていた場合
所定給付日数の支給残日数×失業保険の日額×50%

ここ数年の傾向で見ると、再就職手当の支給額は増額されています。

もともとは、上記の計算式で使われる倍率は30%でした。
なんと、今の半分です。

それが、平成24年までの「失業保険の支給日数が、3分の2以上残っていた場合は50%」、失業保険の支給日数が、3分の1以上残っていた場合は40%」という時期を経て、現在はさらにそれぞれ10%ずつ増額されています。

国の「早く再就職して欲しい」という意向がはっきりと分かる変遷といえます。

再就職手当をもらう手順については、次回以降説明していきます。

2.再就職手当の受給条件

前回は、再就職手当の概要についてお話しました。

今回は、再就職手当をもらうために満たさなければならない条件を見ていきましょう。

再就職手当をもらうためには、下記の条件を全部満たしている必要があります。

1.1年を超え、引き続き雇用されることが確実と思われる職業(パートも含みますが、契約延長が見込めない半年契約の契約社員などは含みません)に就くとハローワークが認定した場合

2.退職前の会社や、その勤務先と資本的・人員的に密接な関係がある会社への再就職ではない場合

3.7日間の待期期間の終了後の再就職、あるいは、独立した事業を営業(営業準備)した場合

4.3ヶ月の受給制限期間がある場合、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介を経由しての再就職に限る(7日間の待期期間の満了後、1カ月間に限る)

5.再就職する以前の3年間、再就職手当、常用就職支度手当の受給履歴がない場合

6.ハローワークでの求職手続きより前から、内定が出ていた企業に再就職していないこと

7.再就職先で、雇用保険に加入すること(一般保険者資格を得ること)

8.ハローワークが再就職手当の支給に必要な調査を行った時点(再就職後、おおよそ1ヶ月~1ヶ月半)で、再就職先を退職していない場合

再就職が決まったら、即申請。
再就職が決まったら、即申請。

条件が多く、ずいぶん厳しいな、と思われるかも知れません。

しかし、これらの制限の多くは「不正に再就職手当を受給しようとする人」の排除が目的になっています。

求職者登録をする時点ですでに再就職先が決まっているような場合、「再就職手当目当てで、求職者登録をした」と思われても仕方ないですから。

妙な口裏合わせをしていない限り、受給できないということはありませんので安心してください。

3.就業手当とは

前回、再就職手当の支給条件を見ました。

多くの条件を満たす必要がありましたが、もっともハードルが高いのは「1年超、安定した雇用が見込める」という部分ではないかと思います。

期間契約のパートタイムや、契約社員として入社した場合、「1年を超えて働くことが確実」とはいえないので、再就職手当の支給対象とはならないのです。

では、1年以下の契約期間で入社したアルバイト、パートタイム、契約社員は1円ももらえないのでしょうか?

さすがにそれは不公平だということで、再就職手当をもらえない人でも、「就業手当」という給付金が支払われることがあります。

再就職手当がもらえなくても手はあります。
再就職手当がもらえなくても手はあります。

さっそく、就業手当を受給できる条件について見ていきましょう。

1.失業保険の支給残日数が、入社日時点で所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上残っている

2.退職前の会社や、その勤務先と資本的・人員的に密接な関係がある会社への再就職ではない場合

3.7日間の待期期間の終了後の再就職、あるいは、独立した事業を営業(営業準備)した場合

4.3ヶ月の受給制限期間がある場合、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介を経由しての再就職に限る(7日間の待期期間の満了後、1カ月間に限る)

5.ハローワークでの求職手続きより前から、内定が出ていた企業に再就職していないこと

上記の2.3.4.5.の条件は、再就職手当の支給条件と同様です。

気になる支給額ですが、就業日×失業保険の日額×30%です。

ただし、1日あたりの上限があります。
上限額は1,747円(60歳以上65歳未満は1,416円)で、毎年8月1日に見直しが行われます。

4.まとめ

・就職した時点で失業保険の受給日数がある程度残っていた場合、再就職手当というお金がもらえる。

・もらえる金額は、残っていた失業保険の日数×失業保険の日額×5割~6割が目安。受給にはいろいろ条件があって面倒くさい、と思うかも知れないが、普通に就職活動をして再就職した場合はひっかかることはないのであまり気にしなくて良い。

・1年未満の雇用見込みで再就職した場合、再就職手当はもらえないが、就業促進手当という給付金がもらえる。

・就業促進手当の金額は、残っていた失業保険の日数×失業保険の日額×3割。