勝手に下げられる時給 失業保険.comメルマガ

■ 第87回 勝手に下げられる時給

今回は、

某居酒屋チェーンで

起こったお話です。

 

居酒屋といえば、

営業時間が深夜に及びます。

居酒屋
居酒屋で働くのは大変

22時以降は、

深夜手当で25%増しの時給が

支払われなければいけません。

 

この居酒屋チェーンは、

労働基準監督署に調査に入られ、

その際

 

「深夜手当を払っていない。

ちゃんと払うように」

 

という指導を受けました。

 

そして、指導に従い

25%増しの深夜手当を

支払うようになったのです。

 

と、ここまでは良かったのですが・・・

 

会社側は、手当をつけるようになった分、

時給を下げてきました。

 

それも、何の事前説明もなしにです。

予告なしの給与引き下げ
予告なしの給与引き下げ、頭が痛い・・・

さて、このように

「事前説明なしに、時給を下げる」

といったことは許されるのでしょうか?

 

当然ですが、許されるわけがありません。

 

労働条件を、

雇われる側に不利な方向に変更するのは

「労働条件の不利益変更」

といいます。

 

これは、会社側が勝手に行うことは

一切許されていません。

 

ちゃんと、

労働者側の承諾が必要になります。

 

会社側は、

言いくるめてしまえば何とかなる

と判断したのでしょうが、

こんな露骨な法令違反が

どうにかなるはずもありません。

 

一歩会社の外に出てしまえば、

違反をしていた側が完全に不利になります。


関連記事:

知らない内に労働条件が悪化する時代

給料減額はどこまで許されるか?


 

■ 編集後記

今回のケースは

過去にさかのぼって

深夜手当を支払わせた・・・

のですが、

こういった請求権は2

年で時効にかかります。

 

それ以前の深夜手当については、

時効にかかっているので、

請求できません。

 

結局、会社側は

「支払うべきお金の支払いを免れた」

ことには変わりありません。

 

社長は、

「損した、損した」

と嘆いているかも知れませんが、

2年以上前のことも考えあわせると、

それでも得しすぎです。

未払い給与は、2年で時効
未払い給与は、2年で時効

2.Q&A

Q.給与の引き下げが納得いきません。

 

勤続15年の会社員です。

 

 

会社の経営が厳しいとのことで、

昨年の夏から

給与を5万円引き下げられました。

 

しかし、

後から分かったのですが、

私より給与が高い社員が

給与減額されていなかったりと、

人によって減額幅に差別がありました。

 

例えば、降格されて

役職手当が削られた・・・

ということであれば、

大幅な減額も仕方ありません。

 

しかし、

特に役職には変化はありません。

 

基本給と役職手当を、

それぞれ削られているだけです。

 

同じ課長という役職であっても、

給与減額されていない人もいます。

 

これは、特定の社員を狙って

差別的取り扱いをしている、

ということで

訴えれば勝てるでしょうか?

 

私としても、

会社と正面きって争うのは

気が進まないのですが、

5万円という減額幅は

生活に大きく響いています。

 

社員全員が同じような状況なら、

歯を食いしばって耐えようかとも

思えるのですが、

自分ばかりが割りを喰わされている

ように思えて、

仕事へのモチベーションも上がりません。

 

どのように対処するのが良いでしょうか?

 

知恵を貸して下さい。

 

A.本文でも書きましたが、

労働者側の同意を得ない、

一方的な給与引き下げは

無効です。

 

今回のケースがどうか?は

詳しく書いていないので

断定はできませ。

 

しかし、

給与の減額幅を

恣意的に決定しているあたりから、

適切な手続きを経て

給与減額を行っている、

という可能性は低そうです。

 

つまり、

あなたの給与減額幅だけが大きいのが

おかしい、

という以前に、

給与減額そのものが

適切な手続きを経ずに強行されている

可能性が高いです。

 

外部の力・・・

この場合は労働基準監督署

になるかと思いますが、

外部の力を借りる場合にも、

このラインで攻めるのが得策です。

 

自分の給与減額幅だけが大きい、

という理由で

労働基準監督署に

相談したと仮定します。

 

すると、相談者の氏名を秘密に

したとしても、

相談内容から

「誰が労基を差し向けたか」

がバレてしまいます。

 

「自分の給与だけ大幅に減額された」

では、誰が通報者かは、

会社にもすぐ分かってしまいますよね?

 

そうならないよう、

全体的な問題を指摘して、

「給与の減額」

そのものを無効化する方向で

動いた方が安全です。