厚生年金:非正規労働者へ適用拡大、経済界反発で慎重論

厚生年金:非正規労働者へ適用拡大、経済界反発で慎重論

パート労働者の厚生年金・

健康保険の適用拡大ですが、

ここにきて勢いが

トーンダウンしてきているようです。

税と雇用の一体化
抵抗勢力が予想外に多く・・・

「税と社会保障の一体改革案」

で大きな柱のひとつとして

挙げられていたこの施策。

 

当初からパート社員を多く採用している

小売り・サービス業界は反発していましたが、

ここに来て経済産業省も否定的な見解に回り、

民主党内からも慎重論が出ています。

 

政府内で意見の食い違いが、

今さら表に出てくるというのは何なんでしょうか。

なんだか頓挫しそうな匂いがプンプン漂ってきました。


概略については、以前の記事

パートが健康保険組合に加入すると、企業は5,400億円損をする

をご覧ください。


 

以下、毎日新聞からの引用記事です。

<ここから>

税と社会保障の一体改革案の目玉の一つ、

短時間労働者への厚生年金、

健康保険の適用拡大を巡り、

民主党政権内で慎重論が強まっている。

 

非正規雇用労働者の待遇改善策に掲げながら、

保険料負担の増える経済界が反発するや一転、

党幹部らがたじろぎ始めたからだ。

 

拡大対象の縮小や、

今国会への関連法案提出見送りを迫られる可能性も出てきた。

 

21日午後。

民主党厚生労働部門会議座長の

長妻昭元厚生労働相らは

適用拡大に消極的な

同党の前原誠司政調会長と国会内で会談。

議論
どうも意見が一致しません

しかし、

「一体改革に盛り込まれているのに

政調会長が否定的なことは言わないでください」

と求める出席者に前原氏は

「慎重に判断しないといけない」

と述べるにとどめた。

 

現在、週の労働時間が約30時間未満の人は

事業主も保険料を払う厚生年金や企業健保に入れず、

全額自己負担で給付も不利な国民年金、

国民健康保険(国保)に加入している人が多い。

 

そこで政府は一体改革で加入要件を

「週20時間以上」に広げ、

正社員と非正規の格差是正を図る方針を打ち出した。

 

厚労省は

「従業員301人以上の企業で働く年収80万円以上」

の人約100万人を加入させたうえで、

段階的に基準をなくし対象を約370万人に広げる意向だ。

 

だが、この案だと企業負担は最終的に5400億円増える。

 

パートの多い流通、小売業界などが

同党に反対の陳情攻勢をかけ始め、

経済産業省も後押しに乗り出した。

 

その結果、今度は党側もぐらつきだした。

前原氏は20日の役員会でも消極的な姿勢を示したほか、

樽床伸二幹事長代行も推進派議員に慎重な対応を求めている。

 

一方、推進派も業界の説得に動かず、

16、17日に慌てて業界団体を訪れたのが実情。

 

厚労省は企業への財政支援なども模索するが、

これには財務省が警戒を強めている。

 

経済界の不興を買い、

肝心の消費増税に影響したらまずい、との考えもあり、

今や推進派は厚労省と一部関係議員、

という四面楚歌(しめんそか)の状況になりつつある。

 

「非正規労働者のバックアップは必要だ」。

小宮山洋子厚労相は21日の記者会見で

改めて適用拡大に意欲を示した。

 

それでも孤立感は否めず、

民主党の推進派議員は

「全国民を一つの年金制度に一元化する」

とした新年金制度案に触れ

「非正規労働者を入れることすらできないなら

言い訳が立たない」とこぼす。


この件については、引き続き

当初の対象50万人を検討 パート加入拡大で政府

に記しています。