退職後の税金・確定申告の手順、再就職活動で頼りになる窓口

1.退職後の税金

退職をすると、もうひとつ面倒な手続きを自分でしなければならなくなります。

それが、税金です。

「失業したら、収入がなくなるのだから、税金の支払いは考える必要はないのでは?」
と考えている方もおられるかも知れませんが、それは間違いです。

税金は、「前年度の所得に対して納付するもの」だからです。

「おかしいですね。会社に勤めていたときに、税金は毎月引かされていましたよ」

そこまでは正しいです。

しかし、毎月の給与から天引きされて納付されている税金は、「多分、この程度の税額になるだろう」という見通しでとりあえず収めている額なのです。

「とりあえず収めている額」なので、年末に精算して年末調整を行うわけです。

年末調整というと、数万円単位の臨時ボーナスという感覚の人もいたかと思いますが、単に払いすぎた税金が戻ってきているに過ぎません。

しかし、サラリーマンが年の途中で退職した場合、当然ですが勤務先が年末調整をしてくれることは期待できません。

会社を辞めた後は、自分で確定申告を行い、正確な税額を確定させる必要があるのです。

面倒くさくてそんなことは嫌だ、という人もいますが、確定申告をしないと納め過ぎた税金は払いっぱなしになります。

なぜかというと、サラリーマンが毎月天引きる所得税額は、「年間を通じて勤務し、給与をもらい続ける」ことを前提に計算されているからです。

会社を辞めれば収入がなくなるわけですから、上記の前提は当然ですが崩れます。

つまり、「所得税の納め過ぎ」が発生している場合がほとんどといってもいいでしょう。

確定申告というと、税金を納める手続きというイメージが強いと思いますが、サラリーマンを辞めた後の確定申告は「税金を取り戻すための手続き」です。

収入のルートが給与収入だけなら、計算も簡単ですから食わず嫌いをせずにチャレンジする価値はあります。

退職後の確定申告は単純です。
退職後の確定申告は単純です。

2.確定申告の手順

前回、確定申告をすることで、払いすぎた税金の還付が受けられる可能性が高いと書きました。

今回は、確定申告の手順についてお話したいと思います。

所得税の確定申告は、毎年2月16日から3月15日までの期間受け付けられます。
確定申告書の提出先は、住所地を担当する税務署です。

原則は上記ですが、今回の目的は払いすぎた税金の還付でしたね。

実は、税金を取り戻す還付申告は、年が明けたらすぐに受付が始まります。

法律上は1月1日から受け付けることになっていますが、さすがに税務署も開いていませんので、正月休み明けからが実質的な受付スタートになります。

3月の期限が近づくと、確定申告をする自営業者で税務署は大混雑しますので、年明け後早めに動いた方がよいかも知れません。

税務署も空いていますので、分からない点があればすぐに質問できる時期だからです。

さて、次は確定申告にあたって必要な書類について見ていきましょう。

確定申告の必要書類はふたつ。
確定申告書と源泉徴収票です。

源泉徴収票は、退職した年の分です。
その年に得た年収と、納めた源泉徴収税額が記載されているはずです。

源泉徴収票は、退職時か年末に会社から交付されます。

なお、所得税の確定申告をした場合、同時に住民税の申告をした扱いとなります。

「住民税はどこに申告すればいいんだ?」
という疑問を持つ方がいるかも知れませんが、税務署から自治体にデータが行きますので、納税者のこちら側としては、特に何もする必要はありません。

最後に、「確定申告をしなくていいパターン」について説明します。

会社を辞めた年の年末までに、再就職した場合には、再就職先で年末調整が行われます。この場合、確定申告の必要はありません。

手続きは簡単で、源泉徴収票を、再就職先に提出するだけです。

つまり、再就職までに年を越したかどうか?で取るべき行動が違ってくるのです。

3.再就職活動で使える機関あれこれ

ハローワーク以外にもいろいろあります。
ハローワーク以外にもいろいろあります。

ハローワークで求職者登録を行い、失業保険の受給手続きも終了したら、後は再就職活動に専念するだけです。

就職先を探せる機関は、公共施設、民間あわせて、多種多様です。

公共の職業相談施設というと、真っ先に思いつくのがハローワークですが、それ以外にも多数の公的機関が存在します。

特定の職種や、外国人など特定の属性にあわせた就職先をあっせんしている機関も多いですから、自分にあった機関を利用しましょう。

以下、具体的な公的機関について見ていきます。

●公共職業安定所(ハローワーク)

まずは、公共職業安定所、いわゆるハローワークです。

ハローワークは、就職のあっせんや就職相談を受け付けていることは誰でも知っているでしょう。

●バートバンク

パートタイム雇用を希望する方向けに、就職先を紹介している機関です。
職業相談なども可能です。

●人材銀行

いわゆる、キャリア向けハローワークです。

対象は、目安が40歳以上の管理的職業、専門的・技術的職業に従事してきた人になります。

年齢が若い方や、管理職や専門職のキャリアがない方は行っても何にもなりませんので注意しましょう。

こちらでも、就職のあっせんや職業相談を受けることが可能です。

ただ、全国にあるわけではなく、主要都市に偏在しているのが現状です。
自治体の庁舎などに設定されていることが多いです。

●マザーズハローワーク

手の掛かる小さな子供がいると、通常の就職活動ではどうしてもハンデを背負ってしまうのが現実です。

マザーズハローワークは、そういった子育て中の方のために事情を考慮した職業紹介や就職支援を行っている機関です。

子育てに理解がある職場が見つかりやすくなっています。

●キャリア交流プラザ

ホワイトカラー職への就職を希望する方向けの求職支援施設です。

対象は、中高年齢者、30歳以上45歳未満の技術者、1年以上の長期失業者などです。
利用は、登録が必要となります。

キャリアコンサルタントによる就職相談と、職業紹介が主な活動内容です。
また、多くの企業の採用担当者と直接やりとり可能な就職セミナーなども開催しています。

失業者が多い都道府県の労働局内に置かれています。

●学生職業総合支援センター・学生職業センター・学生等職業相談窓口

大学の新卒者などを対象とした就職先の紹介と、専門職員による就職相談を実施しています。

国の公的機関で、各都道府県に1箇所、必ず設定されています。

●外国人雇用サービスセンター
日本での就職を希望している留学生や、キャリアや技術を有する外国人の就職支援を行っている機関です。

東京、大阪、名古屋にあります。

●高年齢者職業相談室

対象者は、55歳以上の高年齢者となっています。
専門職員による就職相談や、就職先の紹介が主な業務内容です。

拠点も多く、全国100箇所以上に置かれています。
区役所、市役所などの庁舎に設置されていることが多いです。

●地域職業相談室
ハローワークの出先機関としての役割を担っています。

ハローワークがない市区町村で、専門職員による就職相談と、就職先の紹介が主要業務となっています。

お母さん専用ハローワークもあります。
お母さん専用ハローワークもあります。

4.まとめ

・退職後の税金は、自分で確定申告をしなければならない。退職者が確定申告をすると、払いすぎた税金が戻ってくることも多いので、毛嫌いせずに取り組む。

・自分で確定申告するのは、退職した後、再就職せずに年を越してしまった場合のみ。年内に再就職した場合は、再就職先に源泉徴収票を提出するだけで年末調整をしてもらえる。

・再就職活動で利用できる機関は多岐にわたる。子育て中のお母さんなど、それぞれの環境に応じた専門機関もあるので該当する場合は利用価値が高い。