残業代割増は期待できません。&装管理職問題、一歩前進 失業保険.comメルマガ

■第102回 残業代割増は期待できません。

「月60時間を超える残業をした場合、

残業代を50%増で支給する」

 

このような法案が成立する

見込みになっています。

 

「それは素晴らしい」

話だけ聞くとこういいたいのですが、

実際、残業代など1時間分も出ない人は

少なくありません。

残業しているが、もう帰ったことになっている
残業しているが、もう帰ったことになっている

 

私が以前勤めていた会社も、

そんなところでした。

 

「会社の見解としては、

給料に残業代が入っている」

などと言われ、

見事に言いくるめられていたのです。

 

無知だった過去の自分に、

「騙されてんじゃねえよバカ!」

と言ってやりたい気分です。

 

さて、

残業代がもらえるのは20時間までで、

後は全部サービス残業

という会社も多くあります。

 

もちろん労働基準法違反なのですが、

横行しているのが実情です。

 

このような状況下で、

企業経営者がまともに

50%増の残業代を払うと考える方が

不自然です。

 

タイムカード残業時間
タイムカードが残業時間を正しく反映している、とは限らない

 

サービス残業が問題になった後、

定時に全員分のタイムカードを押すことを強要する

ような会社もゴロゴロしています。

(もちろん、その後残業を強制されます)

 

もっとすごい会社もありました。

 

その会社は勤怠管理を

PC上で行っていました。

 

出社したら、PC上の勤怠管理ソフトに

「出勤」を入力するのです。

 

出勤時間は自動で記録されます。

 

退社するときも同様ですが、

恐ろしいことに

「定時から一定時間を経過すると、

退勤時間が偽装される」

のです。

 

例えば、

実際の退勤時間が22時であっても、

勤怠管理ソフトに「退勤」を入力すると

「退勤時間:18時30分」

と記録されるのです。

 

これは、まさに会社ぐるみで

残業時間のごまかしを

企まない限り、

絶対に起こりえない現象です。

 

会社の上層部が、

システムを作る会社に

そのような仕様を発注している、

ということを意味するからです。

 

このように、

会社内部は

普段外部の目が及ばないためか、

法律といったものよりも

会社上層部の価値観の方が

はるかに重視されていることが

少なくありません。

 

残業時間の抑制の問題も同じです。

 

規制だけで何とかなると考えているなら、

典型的なお役所仕事というしかありません。

 

規制だけを強化しても、

抜け道を探す人間が増えるだけ。

 

「残業時間が【記録上】減った」

という程度のことにしかならないのです。

 


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■ 編集後記

気になるのが、この制度の導入の交換条件として、

あの悪名高い「ホワイトカラー・エグゼンプション」

の導入を狙っている動きがあることです。

 

いわゆる、残業代0法案ですね。

 

こうなると、

何百時間働かされても文句がいえない世の中

が到来します。

 

以前反発が強くて

引っ込めざるを得なかったため、

聞こえのよい法案と抱き合わせで

ドサクサ紛れに通過させようとしているのでは・・・

 

もしかしたら、こちらが本命かも知れませんね。

 

■第103回 偽装管理職問題、一歩前進

 

2008年9月8日、

厚生労働省が「偽装管理職」

の判断基準を示す通達を出しました。

 

その一部を以下に記載します。

1.パートなどの採用や解雇、

人事考課、労働時間の管理などに

責任と権限がない

 

2.遅刻や早退で減給などを受けたり、

労働時間に関する裁量がない

 

3.基本給や役職手当などが

残業代の適用除外と比べると十分でない

 

4.残業時間を勘案した時給換算で

パートなどの賃金に満たない

 

さほど目新しい内容ではありませんが、

はっきりと

「こういう人は、管理職ではありません」

と示されたことには大きな意味があります。

 

「通達」というのは

行政のガイドラインになりますから、

これに反するような取り扱いは

禁止されるからです。

 

事実上、法律に準じた強制力を持つ

ということになります。

労基の調査は結構怖い
労基の調査は結構怖い ※胸ぐらはつかみません

 

労働基準監督署の調査項目にも

「管理職の実態調査」

が加わる見通しです。

 

今回の通達でも分かるように、

偽装管理職問題は

改善の方向に向かいつつあります。

 

しかし、こうした流れを一切理解していない経営者は

びっくりする程大勢います。

 

そういう経営者にどう対処するか、

はまた別問題として考えなければいけません。