再就職手当

1.再就職手当

「失業保険を全部もらってから再就職しよう」

そう考えるのもひとつの手です。

しかし、失業保険の日数がある程度残っている場合は、早めに再就職しても全くの損にはなりません。

なぜなら、「再就職手当」という給付金をもらうことができるからです。

再就職手当がもらえる
再就職手当がもらえる

これは、失業保険が残っている日数分×6割、あるいは5割の金額を一括で支給してもらえる制度です。

つまり、早めに再就職したとしても半分は回収できるわけです。

「失業保険を全部もらってから再就職」
と考えていても、そうそう都合が良いタイミングで内定が出るとは限りません。

むしろ収入がない期間が発生してしまう可能性の方が高いでしょう。

そういったリスクを回避するには、総支給額は少なくなっても再就職手当を狙っていくのがお勧めです。

具体的な条件ですが、失業保険の支給残日数(あと何日、失業保険をもらえるか)が3分の2以上残っている場合は60%、3分の1以上残っている場合は50%の支給額になります。

また、その他にも条件がありますので確認しておきましょう。

・1年を超えて引き続き雇用されることが確実である(保険の外交員などは、このくくりから外れるとされています)

・前の会社に再入社した、あるいは資本関係などで関連が深い企業に入社していないこと

・待機期間(求職手続き後の1週間)が経過していること

・給付制限がつく場合、待機から1ヶ月はハローワークか民間の職業斡旋業者の紹介で再就職が決定したこと

・再就職手当の調査時に、離職していないこと

なお、再就職手当は、自動的に支給されることはありません。

ハローワークで申請する必要がありますので、忘れないようにしましょう。

 

2.再就職手当の手続き

今回は、再就職手当をもらうための具体的手続きについてお話します。

まず、必要書類について見ていきましょう。

再就職が決定したら、再就職手当支給申請書という書類をハローワークの窓口でもらいます。

この書類には、事業主、つまり再就職先の証明欄があります。

「我が社は、確かにこの人と雇用契約を締結しましたよ」
という証明を記入してもらう欄です。

これを再就職先に記入してもらい、ハローワークに提出します。

再就職手当の申請には期限がありますので、これも確認しておきましょう。

原則としては、「再就職先に入社してから、1ヶ月以内」とされています。

カウントがスタートするのは、入社日の翌日から。
つまり、入社日の翌日が1日目です。

書類を提出するだけなので簡単、と思ったら、実はややこしい条件があります。

それは、「再就職手当の申請は、郵送では受け付けてもらえない」という点です。

郵送不可です。
郵送不可です。

持参することが必要ですので、外回りの間にこっそりハローワークに行く必要があるかも知れません。

入社して1ヶ月もしない内に休暇を申請すると、上司の覚えも悪くなってしまいますから仕事の合間をぬって何とか申請するようにしましょう。

なお、再就職にあたって転居してしまい、ハローワークになかなか出向けない、という事情がある人もいるかも知れません。

やむを得ない事情がある場合に限り、提出期限の延長も認められていますので、ハローワークに相談してみましょう。

書類提出後、再就職の事実確認をハローワークが行い、1ヶ月後~1ヶ月半後に再就職手当が振り込まれます。

3.再就職先を退職した

めでたく再就職したと思ったら、どうも酷い会社につかまってしまったようだ・・・

こういうことは残念ながらよく起こります。

さて、再就職先をすぐに辞めてしまった場合、失業保険はどのような扱いになるのでしょうか。

また辞めてしまった・・・
また辞めてしまった・・・

これは、新たに失業保険の受給資格を得ているかどうかによって取り扱いが変わってきます。

「新たに失業保険の受給資格を得る」というのは、要するに自己都合退職の場合なら12ヶ月、会社都合退職の場合は6ヶ月、雇用保険に加入していたかどうかです。

この場合は、再就職先で得た受給資格を元に、失業保険が支給されます。

では、再就職先で雇用保険を受給する資格を得る前に退職してしまった場合はどうなるのでしょうか。

つまり、自己都合退職で12ヶ月未満、会社都合退職で6ヶ月未満で辞めてしまった場合です。

この場合、以前の失業保険が復活します。

つまり、まだもらっていない日数分の失業保険をもらえるようになります。

不運にもブラック企業に捕まってしまったような場合には、頼りになる救済策といえるでしょう。

といっても、これにも落とし穴がありますので注意しましょう。

その落とし穴とは、「前職を辞めてから、1年以内に発生する失業保険しかもらえない」という点です。

これを経過してしまうと、例え失業保険が何日残っていても1円ももらうことができません。

この期間にはまってしまった場合は、何としても再就職先で失業保険の受給資格を得るまで粘るか、再就職先を決めてから退職すべきです。

全く何の収入もない状態だと、再就職活動もままならないからです。

 

4.まとめ

・再就職した場合、失業保険の支給日数がある程度残っていれば「再就職手当」がもらえる。

・再就職手当の金額は失業保険の5割~6割。申請しないともらえない。

・再就職した会社をまた辞めてしまっても、まだ雇用保険の加入日数が短い場合は失業保険をもらう資格が復活する。