後から雇用保険に加入する

1.後から雇用保険に加入する

失業保険をもらえるのは、雇用保険に加入している人だけです。

当たり前のようなことに思えますが、これは裏を返すと
「会社が、雇用保険に加入させてくれないと、失業保険をもらえない」
ということでもあります。

入社手続きは滞りなく。
入社手続きは滞りなく。

正社員を雇用保険に加入させないという会社はさすがに滅多にありませんし、社員の方もこれはおかしい、と気づきます。

しかし、パートやアルバイトの場合、そうとは限りません。

パート、アルバイトは、雇用保険に加入することはない、と間違った知識を会社から植え付けられてしまっている人が多いからです。

雇用保険に加入するかどうかは、労働時間(週20時間以上)と雇用期間(31日以上)によって決められています。

正社員、契約社員、派遣社員、パート、アルバイトといった雇用形態による区別は、雇用保険法にはいっさいありません。

パートやアルバイトでも、フルタイム勤務している人はたくさんいます。

そのような場合に雇用保険に加入していないというのは明確な雇用保険法違反となります。

さて、「違反だ、違反だ」といっても失業保険がもらえるようにはなりません。

具体的にどうするかですが、これは辞めた後にハローワークで「過去にさかのぼって加入させてもらう」というのが現実的な手段になるでしょう。

雇用保険は、過去にさかのぼって加入することが認められているのです。

本来は、会社に「雇用保険に加入させてください」と交渉するのが正しいのですが、そんなことをすると職場イジメのターゲットにされかねないからです。

ただし、雇用保険にさかのぼって加入できるのは2年間だけです。

このため、それ以前の加入期間は無駄になってしまうことには注意が必要です。

また、雇用保険料を一括で支払う必要がありますので、あらかじめ用意しておきましょう。

雇用保険料の本人負担分は、年度によって変更がありますが、おおむね給与の0.5%弱です。

 

2.無限にさかのぼって雇用保険に加入する

前回、「雇用保険は、過去にさかのぼって加入できる」というお話をしました。

しかし、過去にさかのぼって加入できるのは2年間に限定されます。

これだと、勤続25年であっても雇用保険には2年しか加入していなかった扱いになり、失業保険の支給日数などで大損をしてしまうことになります。

たった2年かよ!?
たった2年かよ!?

いくら過去にさかのぼって加入できるとはいえ、このような扱いには納得がいかない人も多いと思います。

何とか、全ての期間をさかのぼって雇用保険に加入する方法はないものでしょうか?

非常に条件は厳しいですが、可能性はあります。

それは、「毎月、給与から雇用保険料を天引きされていたのに、実際には雇用保険に加入していなかった場合」です。

つまり、会社からは雇用保険料を毎月取られていたにも関わらず、会社がそのお金を流用していたようなケースです。

実際には、会社は雇用保険料を納付していませんから雇用保険に加入したことにはなりません。

しかし、「雇用保険料が毎月天引きされているのに、『雇用保険に加入していないことに気づく』ことは普通の会社員には不可能だろう」ということで、全期間にさかのぼっての加入が許されています。

これは、天引きした社会保険料を実際には納付せず、自分のフトコロに収めてしまうような悪質な会社が多いため、救済措置として設けられた制度です。

平成22年と、比較的最近に導入された救済措置ですので、ハローワークの窓口で相談すると恐ろしいことに「そんな制度はない」と言われてしまうことがあります。

ハローワークの窓口にいる職員も、不勉強な人はいくらでもいますので、そのようなウソに惑わされないようにしましょう。

さかのぼっての雇用保険加入には、給与明細など、給与から雇用保険料が天引きされていた証拠が必要です。

入社してからの全期間分をそろえるのはさすがに難しいと思いますが、可能な限りかき集めて持って行きましょう。

 

3. 雇用保険に加入させてもらえない

すでにお話したように、会社が雇用保険に加入させてくれない場合は、退職後にさかのぼって加入するのが現実的な方法です。

しかし、これだとさかのぼれる加入期間は2年間に限られます。

会社のせいで私が損する?
会社のせいで私が損する?

全期間さかのぼって加入できるのは「会社が雇用保険料を天引きしていて、実際は納付していなかった場合に限る」ので、適用できるケースは少ないです。

長く勤めるつもりなら、正攻法で会社に雇用保険への加入を頼むしかありません。

しかし、雇用保険の加入という当たり前のことを行わない会社ですから、頼んだところで素直に加入させてもらえることは期待できません。

「バイトが雇用保険なんて加入できるわけないだろう」
などと、明らかに間違ったことを平気で話す上司はいくらでもいます。

さて、このようなケースではどう対処すべきでしょうか。

「ハローワークに密告してしまう」のが一番手っ取り早いといえます。

密告する先は、会社の住所地を管轄するハローワークです。

ハローワークに行って「被保険者資格取得の確認請求に来ました」と告げましょう。

これは、「雇用保険に加入する資格があった」ことを確認する手続きです。

この訴えを受けると、ハローワークは会社の実態を調査し、雇用保険に加入するよう、会社に指導してくれます。

この結果、入社時にさかのぼって雇用保険に加入できることになります。

しかし、このようなマネをした社員はあからさまに排除しにかかる企業が多いですから、かなりの覚悟が必要になります。

 

4.まとめ

・雇用保険は、条件を満たしていた場合はさかのぼって加入することが可能。

・ただし、さかのぼって雇用保険に加入できるのは2年。

・会社が雇用保険料を天引きしていたにも関わらず雇用保険に加入させていなかった・・・という場合のみ、2年という制限が撤廃され、制限なしにさかのぼって加入が認められている。

・雇用保険に加入させてもらえない場合、会社との直接交渉はほぼ無意味。公権力を介入させない限り、効果は期待できない。