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1.景気がいいのはお金持ちだけ

(2,017年1月4日更新:2.を追記)

マスコミではここ数年、

「日本の景気が回復している」

という論調が目立っています。

 

しかし、景気が良くなったと言われても

実感がない人

が大半ではないでしょうか。

景気回復ってどこの話?
景気回復ってどこの話?

 

それもそのはずで、

労働者に支払われる賃金は

低下の一途をたどっているからです。

 

厚生労働省が出した

「労働経済白書2007年版」

によると、

雇用者報酬は273兆円(1998年)から

259兆円(2005年)に激減しています。

 

これは

 

「派遣社員やパート・アルバイトなどの

非正規雇用が増えたためで、当然のこと」

 

などと説明されることが多いのですが、

労働者にお金が渡っていないことには

変わりありません。

 

「国内で自動車が売れない」

とメーカーが嘆いている

という報道もありましたが、

お金がないのですから当たり前です。

自動車産業すら苦戦中
日本を代表する製造業である自動車産業すら苦戦中です。

 

では、その減ってしまったお金は

どこにいったのか?

 

これは、企業の役員報酬や

株式の配当になっています。

 

役員報酬はこの数年で2倍以上、

株式の配当金も上昇の一途をたどっています。

 

要するに、今回の景気回復で潤っているのは、

役員様・株主様だけなのです。

 

それでいて企業は

 

「今後の国際競争に備え、

強い企業を作るために

内部留保を積み上げている」

といったコメントを頻繁に出しています。

 

役員報酬を削った上でのコメントなら

分かるのですが、それは増えている。

 

説得力が感じられないのは私だけでしょうか。

 

株式の配当については、

大株主から圧力がかかることも多いので、

企業だけを責めるのは酷ですが・・・

 

景気回復といわれながら、

多くの方がそれを実感できないのは

こうした背景があります。

 

景気回復どころか

収入減なのですから、

実感できるわけがありません。

 

マスコミの報道を真に受けて

「自分はなんで

景気回復の恩恵に与れないのだろう」

などと悩む必要はありません。

 

景気がいいのは、

役員様や株主様ばかり

というのが実態なのです。


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■ 編集後記

今のように、

「労働者には金は払わん」

という状態が続くとどうなるでしょうか。

 

お金がないのだから、

当然消費も伸びなくなります。

 

これが続くと、

国内だけで売上を得ている企業は

ジリ貧になっていきます。

 

「それでも構わない」

というのが、海外での売上メインの会社です。

 

輸出メインの会社は

国内市場がどうなっても

致命傷にはならないのですから、

国内経済を破壊しかねない主張を

平気で繰り返しています。

 

「国が衰退しても構わない。

労働者は使い捨てでいい。

自分が儲かればよい」

ということなのでしょう。

 

名前を聞けば誰でも知っている企業が

これなのですから、本当に恐ろしい話です。

 

2.2017年初頭現在はどうなっているのか?

1.を書いたのは2,007年の年末。

もう、9年も前の話になります。

 

今回、追記をするにあたり

内容を見直してみましたが、

現状、何も変わっていません。

 

相変わらず、

労働者の給料は伸びていません。

 

首相は繰り返し、

賃金アップを企業に呼びかけていますが、

それとは裏腹に、

実質賃金は伸びていないどころか

下がり続けている、

という報道が

2,016年の年末にされたばかりです。

給料が伸びていないのは勘違いではなかった
給料が伸びていないのは勘違いではなかった

一方で、企業の内部留保は

大きな伸びを見せています。

 

簡単に説明しておくと、

内部留保というのは

企業の貯金みたいなもの、

と考えれば良いでしょう。

 

バブル崩壊からの

失われた20年だか30年だかで、

企業はお金を労働者に分配せず、

企業内部に残す傾向を強めています。

 

これは、例えば2,008年に起きた

リーマンショックなど、

大きな経済クラッシュや、

企業特有の業績不振を

乗り越えるための準備です。

 

それはそれで結構なことなのですが、

結局、働く人にお金を渡さず、

企業がホールドすることで

消費が伸びず、景気も悪いままです。

 

企業が自分だけの生き残り手段に

最適な行動をとると、

日本全国が沈んでしまう。

 

この傾向が逆転するのは、

ちょっと難しいんじゃないかと思います。