雇止めが合法になる条件

1.会社がいきなり「更新しない」は解雇扱い

契約期間の定めのある契約とは、3ヶ月や半年といった期間を定めて雇用される契約をいいます。

パート、アルバイト、契約社員などが該当します。

こういった有期労働契約の場合、会社は気軽に解雇したり、突然契約更新を打ち切ったりと、気軽に切り捨てているのが現状です。

雇止めは悲しい・・・
雇止めは悲しい・・・

しかし、こういった解雇や雇い止めは、違法行為に該当することが非常に多いのはご存じでしょうか。

例えば、、契約期間の中途で会社の方から一方的に「辞めてくれ」と伝えるのは解雇に当たります。

つまり、厳しい条件を満たさない限り、その解雇に正当性は認められません。

では、契約更新のときに「今回は契約を更新しませんから、あなたは今月末まで出社してもらったら契約終了です」というのは正当な取り扱いでしょうか?

いわゆる雇い止めで、一時期、世間を騒がした「派遣切り」もこれに当たります。

結論からいうと、こうした「不意打ち的に、契約更新を会社側が拒絶する」のは違法になります。

繰り返し、契約更新をしてきたパート、アルバイト、契約社員は、生活基盤をその仕事から得られる収入に依存していることがほとんどです。

にも関わらず、突然その仕事を奪われると、あまりに多くの人が即、路頭に迷ってしまいます。

これでは社会が大混乱します(実際、派遣切りのときは大騒ぎになりました)。

こうした理由もあり、安易な派遣切りは違法とされているのです。

しかし、多くの人は「契約を更新する・しないは会社にも選ぶ権利があるから仕方ない」などと考えてあっさり受け入れてしまいます。

そのようなことはありませんので、会社の言いなりにならないように注意しなければなりません。

会社の言うことを真に受け過ぎると、貧乏くじを引きます。
会社の言うことを真に受け過ぎると、貧乏くじを引きます。

2.雇止めが合法になる場合

では、こうした雇い止めが、合法になるのはどのような場合でしょうか?

雇い止めが合法になるケースのひとつめは、「あらかじめ、会社が社員本人に予告していた場合」が代表的です。

つまり、雇う時点で、「今回の仕事は期間限定なので、契約更新はありませんよ」と明確に社員側に伝えていた場合は、契約終了時点で雇い止めを行ったとしても、何ら問題は生じません。

「契約の更新はしない」という条件を提示して契約を結んでいるからです。

もっというと、パート・アルバイト、契約社員といった有期労働契約社員を雇い入れる場合、会社は「契約の延長があるのか?それとも、今回の契約期間が終了したら、延長はないのか」を説明する義務があります。

こういった点をあいまいにして雇う会社も多いのですが、これは法律で定められている会社の義務ですので、省くことは許されません。

実際には横行しているのが問題なのですが・・・

他にも、下記のような場合は、守らなければならない条件があります。

1.1年を超えて継続雇用してきた人を雇止めする場合
30日前までに「次回の契約を更新しない」と伝える必要があります。

2.契約更新を何回も重ねてきた社員を雇止めする場合
「解雇理由の合理性・相当性」が必要です。

前にも書きましたが、有期労働契約といっても、何回も契約更新を続けていれば、社員の側に「次回も更新されるだろう」という期待が生じているからです。

そのような場合に突然、契約を打ち切られると、その社員はたちまち生活に困窮してしまうことになるでしょう。

このため、雇い止めが合法になるには、正社員を解雇するときと同じような厳しい条件を満たすことが求められます。

ただし、直近の更新にあたる契約のとき、「それ以降の更新はしない」という当事者間の合意があった場合には、単純な「退職」として扱われます。

この場合、解雇の問題は生じませんので、社員側に特に問題がない場合であっても雇い止めは合法となります。

最後の契約期間が始まる直前に「次回の更新はありませんよ」と伝えているため、社員側も退職後のことを考えて対策する時間があるからです。