パート労働法、改正 失業保険.comメルマガ

■第83回 パート労働法、改正

パート労働法され、

2008年4月から施行されます。

 

「パート」とついていますが、

非正規労働の人

全員に適用されます。

 

ですので、

アルバイト、契約社員

の方にも関係があります。

 

この改正で一番大きいのは、

「差別的取り扱いの禁止」

が明記された点になるかと思います。

 

誰と差別するのが禁止かというと、

正社員です。

パート労働法、改正
君はパートだから、は通用しなくなります

職務の内容や

契約期間の有無が

正社員と変わらないのであれば、

待遇も正社員と差別してはいけないですよ、

というわけです。

 

よく、

「正社員並に働かされているのに

待遇が悪い」

という不満を訴える

非正規雇用の方の話を聞きますが、

そうしたことが明確に禁止されました。

 

簡単にいうと、

「正社員並の仕事をしている人には、

ボーナスも出しなさい」

「正社員並の仕事をしている人は、

福利厚生も社員並にしなさい」

ということです。

 

しかし、「差別的取り扱い」

の判断基準がちょっと微妙な気がします。

 

・職場の業務内容

・権限

・責任

・人事異動の有無

・契約期間(実質的に無期契約であるかどうか)

 

こういった部分が

全て正社員レベルであって初めて

「差別的取り扱いの禁止」

が適用されます。

 

となると、

これは意外に抜け道が多いような

印象を受けます。

 

私が悪徳経営者なら、

「権限」だけ与えずに、

 

「君は完全に正社員と

同じではないから」

 

という言い訳を作ります。

パート労働法改正
お前は権限がないから、ボーナスやらん!何という悪徳

権限を取り上げる一方で

責任だけ正社員並に負わせてしまえば、

会社の側としては

痛くもかゆくもないからです。

 

実際は施行されてみないと

どういった問題が起こるかは分かりません。

 

しかし、施行後は

「君はパートなんだから」

の一言で泣き寝入りさせられていたことにも、

争う根拠ができることにはなります。


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■ 編集後記

改正パート労働法ですが、

案の定というか、

知らない会社も多いようです。

 

都合が悪いので、

知らないふりをしているだけかも

知れませんが。

 

そのような会社では、

相変わらず会社の横暴は続きます。

 

そして、パート社員の方は

「パートだから」の一言で

泣き寝入りを強いられ続けます。

 

パート社員の人に

「法改正を知っておきなさい」

というのも酷な話ですが、

知らないと搾取される一方です。

 

そんなこともあり、

今回はこの話題を取り上げてみました。

 

2.2,017年現在

さて、2,008年のパート労働法改正から、

9年の月日が流れました。

 

会社での、パート・アルバイトといった

非正規雇用で働く方の待遇は

どうなったでしょうか?

 

ほとんどの方がお分かりでしょう。

「何ら、変わるところはない」

というのが偽らざる本音です。

法改正あったことすら忘れてた
法改正あったことすら知らない・・・(人事部社員談)

確かに2,017年現在、

パート・アルバイトの時給は

うなぎ登りです。

 

しかし、

それは単に人員不足で、

時給を上げないと

人が集まらない、

という

全く別の原因があります。

 

そもそも、

時給が多少上がったところで

正社員の給与には

ほど遠いのが実情です。

 

正社員に比べて

仕事が単純だったり、

責任が少なかったり、

そのような立場の方であれば、

それでも構いません。

 

しかし、パート労働法改正の

最大の目的であった、

「差別的取り扱いの禁止」

が実現された、

とは言い難いです。

 

すでに指摘したように、

「権限だけを与えない」

ことでも

この「同一待遇の義務」

からは逃れられます。

 

であれば、

「権限を与えない」ことで

「給与を低い水準にキープできる」

のですから、

経営者はまちがいなく

こちらの選択肢に飛びつきます。

 

正社員と同じ水準の給与を出したい

ほどの人材であれば、

他社に逃げないように

正社員に昇格させるでしょう。

 

国は、規制さえすれば

何でも解決する、

とでも言わんばかりに

法改正を繰り返しますが、

ひとつでも抜け道があると、

たちまち有名無実化します。

 

正社員並の仕事をしている

パート・アルバイトの人が、

報われる日はまだ遠そうです。