だれも知らない育児時間の権利 失業保険.comメルマガ

■ 第98回 だれも知らない育児時間の権利

育児休暇をまともに取れる会社は、

非常に少ない

といわざるを得ません。

 

そのまま退職に追い込まれることも

ざらにあります。

育休明け 退職勧奨
育休明けで辞めさせようとする会社は多いです

 

どうにか会社に復職したとしても、

保育園の営業終了時間に

間に合わなかったりと、

四苦八苦して働いている方は

多いようです。

 

ところで、

 

「生後1年未満の子供を育てている女性」は、

 

会社に対して

 

「1日2回、それぞれ少なくとも各30分の

育児時間を請求することができる」

 

というのをご存知でしょうか?

 

知っている方は、極端に少数だと思います。

知らなかった
知らなかった・・・

会社にしてみれば、

絶対に知られたくない類のルール

ですので、

親切に教えてくれることなど

全く期待できません。

 

ちなみに、根拠は

労働基準法の67条になります。

 

この育児時間は、

労働時間の「始め」か「終わり」に

請求することができます。

 

保育園の営業終了時間に間に合わないで

苦労しているお母さんも、

労働基準法67条を基づいて

育児時間を請求する。

 

そうすれば、

余裕を持って

「子供を迎えに行くことができる」

というわけです。

 

といっても、実際には要求したところで

別の理由をでっち上げられ嫌がらせをされ、

退職に追い込まれかねない・・・

というのが企業社会の現実でもあります。

 

日本の企業はどうにも企業側が強いので、

正しいルールを適用してもらうだけでも

一苦労です。


関連記事:

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育児中にもらえる給付金


 

■ 編集後記

今回取り上げた育児時間ですが、

女性のみに認められています。

 

男性はこの育児時間を

請求することはできません。

 

父子家庭はどうなるんでしょうか・・・

 

2.Q&A

Q.育休から職場に復帰したところ、

上司から退職するように言い渡されました。

 

私が育休を取っている期間に、

会社全体の売上が大きく減っていて、

人手も必要ないとのことです。

 

私が育休取得前に行っていた仕事には、

他の人が就いています。

 

ですので、

人手が必要なく、仕事もない、

という会社の説明は

納得ができません。

 

本来であれば、

私が育休から復帰した後には、

前の業務に戻すのが筋だと思います。

 

この点を上司に問い詰めたところ、

 

「子供が病気だからといって、

すぐに遅刻したり休まれるのは困る」

 

「同僚からも、不満の声があがっているので、

以前のポジションに戻すわけにはいかない」

という回答でした。

上司から退職勧奨
上司から退職勧奨

 

解雇ではなく、

あくまで退職勧奨ということでした。

 

どうしても辞めたくない場合でも、

正社員としては無理。

パートなら考慮する、

という回答でした。

 

ネットでいろいろ調べてみましたが、

出産したからといって

退職を言い渡すのは、

違法だとあります。

 

ということは、

今回のケースでは

会社の言い分は間違っている、

ということで間違いないでしょうか?

 

この点を主張すれば、

待遇は元の正社員のまま、

育休取得前の立場に

戻れると考えてよいでしょうか?

 

会社とどのように交渉したら良いのかを

含めて教えてください。

 

A.今回の会社の言い分は、

確かに法令違反となります。

 

妊娠・出産を理由にした退職勧奨は

認められていません。

 

ですので、理屈通りにいけば、

正社員のままで、

育休取得前のポジションに

戻ることができます。

 

・・・しかし、現実的には、

そうなったところで茨の道が

待っています。

 

会社としては、

「ご質問者様を辞めさせたい」

というスタンスは変わりません。

 

残念なことですが、

日本の企業では、まだまだ

育児をしながらの勤務について

理解が薄いのです。

 

妊娠・出産を理由にした退職勧奨が

法令違反になるのであれば、

他の理由をこじつけてでも

退職に持ち込もうとするだけです。

 

営業成績不振や、職務怠慢、

業務命令違反など、

辞めさせたい社員に対して

理不尽な言いがかりをつけて

退職に追い込む企業は、

いくらでもあります。

 

育休明けでいきなり、

「辞めて欲しい」

などと言ってくる会社なら、

こういった嫌がらせの手口には

精通していることが多いものです。

 

こういった「有象無象の嫌がらせ」

によって退職にもっていくことも、

もちろん違法です。

 

しかし、その立証は難しく、

個人で戦うのは現実的ではありません。

 

よって、方向性としては

「いかに有利な条件で辞めるか」

を模索する方が、

より現実的であるといえます。