経歴詐称は致命傷? 失業保険.comメルマガ

■第56回 経歴詐称は致命傷?

大阪市や横浜市で、

学歴を偽って就労していた公務員の人たちに

処分が下されました。

 
高卒対象の職種に、

本当は大卒なのに

学歴を偽って応募していたというものです。

 

民間でも、

「経歴詐称が発覚した場合は解雇する」

としている会社は多く存在します。

 

では、たとえ些細なことであっても、

経歴を詐称していたことがバレたら

解雇されてしまうのでしょうか?

経歴詐称は、土下座しても許してもらえません
経歴詐称は、土下座しても許してもらえません

実はどんな場合でも

解雇に正当性が認められる・・・

わけではありません。

 

裁判で下された判断を見ると、

 

「詐称内容が、

職場秩序に著しい不利益や混乱をもたらすもの

である場合に『限り』」

解雇の正当性が認められています。

 

では、

「職場秩序に著しい不利益や混乱をもたらす」

というのはどの程度の範囲でしょうか?

 

例えば募集要項に

「経験者に限る」

と明示されていた仕事に未経験で応募し、

しかも経験者を装って

面接を突破したような場合・・・

というのが該当します。

 

逆に、業務に関連性が薄い部分・・・

例えば卒業した大学を偽った

という理由で解雇するのは厳しいでしょう。

 

業務に深い関係もなく、

現在の仕事に悪影響を与えるものでもない・・・

という程度の経歴詐称で解雇すると、

不当解雇になる可能性が高くなります。

エンジニアの経歴は全部ウソ
エンジニアの経歴は全部ウソなので、仕事が1ミリも進まない

まあ、他の要素も併せて

総合的に判断されるので、

上記はあくまで一例と考えてください。

 

結局はケースバイケースになるのですが、

確実にいえることはあります。

「経歴詐称がバレたからといって、

必ず解雇されるとは限らない」

ということです。

 

辞めさせたい社員の身辺を洗い、

ささいな経歴詐称をつついて会社から追い出す・・・

 

ワンマン会社でたまに見る光景です。

 

経歴詐称をした社員も、

「ウソをついた」という後ろめたさがある分、

抵抗しようという気持ちにはなりにくいようです。

 

しかし、別に言いなりになる必要はありません。

 

経歴詐称をしたことは

責められるべきことでしょうが、

だからといって度を越した制裁を受けるべき、

という理屈は成り立たないのです。


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■ 編集後記

私が受ける相談の中でも、

「次の会社の面接を受けるときに、

経歴詐称をしても大丈夫でしょうか?」

という内容のものが結構あります。

経歴詐称
詐称した経歴を絶賛され、気まずい。

正直、あまり大丈夫ではありません。

 

経歴詐称で解雇されたら、

不当解雇になる可能性がある・・・のは確かです。

 

しかし、だからといって、

「じゃあ、経歴を偽ってもよさそうだ」

などと判断するのは考えが足りません。

 

「入社段階でウソをついていたと分かった社員」

を、今後会社が信用するかと考えてみれば・・・

答えはお分かりだと思います。

 

今後その会社で

いい目を見る可能性は

ガクンと落ちてしまうことは確実です。

 

どのみち将来に渡って

不要なリスクを背負い込んでしまうことには

変わりありません。

 

法律的な見地からだけ考えれば

「問題なしです!」といいたいところです。

 

しかし、特に中小企業は

感情で動いている部分も多いですから、

そういった心理的要素を加味して考えると、

経歴詐称は割りに合わないと言う他ありません。

 

「それでは、採用されない」

という方もいらっしゃるかも知れません。

 

事実、多くの方は、

面接でウソを並べ立てて

就職・転職しているのも事実です。

 

「採用面接で

【ウソをついたことがある】

と回答した人の割合が

【7割以上】にも及ぶ」

という調査もあります。

 

しかし、ウソをつくよりは、

「自分が不利な部分はあえて触れない」

など、後から「ウソをついた」

という糾弾を受けない手段で乗り切る方が、

後々安全です。

 

自分の経歴詐称がバレていなくても、

同じ会社で「経歴詐称で辞めさせられた」

などという社員が話に出るたび、

ビクビクして過ごすのは割に合いません。